解説
トウとは、植物の花茎のことをさす。垂直に花茎が成長するシソ科やアブラナ科などによく用いられる言葉で、たとえばトマトなどのナス科やオクラ、インゲンや枝豆などの豆科には用いられない。つまり、一部の例外を除いて葉野菜でよく使われる言葉である。
トウが立つとは、その花茎が垂直に伸びて立派になった様を指す。植物ごとに決まった日数、日光、栄養、気温などの条件がそろった時に反応が顕著になる。
詳細
野菜の収穫の旬は花が咲くすこし前であることがとても多い。これはトウが立ちはじめると植物の状態が【葉を増やし、大きく育つ】から【新芽を極力出さずに現状維持で花実を育てる】ことにシフトする為、おのずと栄養や水分などがトウに集中し、新しい葉が現れにくくなる為、葉の成長が著しい頃に収穫する為である。
新しい葉が現れにくくなるということは、種を採る予定がない場合には一大事であるから、トウが小さいうちから取り除いておけば、新しい葉が生えてくることが多い。葉野菜を育てる時には注意すること。ただしどうにもならないケースもある。(季節的に葉の成長が望めない等)
トウが立つ=そのころには葉が硬いという事
前述した通り、トウが立つころには葉は大分成長している。ホルモンバランス的な要素もあるが、総じて葉というのは成長にしたがって硬くなるもの。多くのケースでは単に【葉が表れてから日数が経過したから硬くなった】というわかりやすいメカニズムとなる。
つまり、新芽のころには細胞壁が薄く、葉一枚あたりの細胞数も少ないが、大きく成長した頃には細胞壁が丈夫に、そして細胞数も当然増えるので硬くなる、という単純なことである。
トウは食べられるか否か
トウによっては食べられることもある。当然食べられる野菜であることが前提で、かつ花や実、種に毒を持たない品種であることは絶対条件なので注意。
代表的な食べられるトウとしては、シソ、バジルなど。アブラナ化のトウをすすんで食べる人も稀にいるが、アブラナ科のトウは硬いので花が咲く前のつぼみの状態でてんぷらにすることが多い。
また、知らずに食べているトウとしてもっとも有名なのは菜の花。
ただ、トウが伸びきる前に食べるのが普通であるから、トウが立ってから菜の花を食べたり、他の野菜のトウを食べたりというのは通常行われない。食べようとしても茎が噛み切れない程に筋ばってしまうからである。
花を支える役目もあるが、トウにとって重要なのは実をつけて子孫を残すことである。よって、大きく成長したトウは植物中で一番といってもいいほど硬くなる。(ゆえに成長しきるととても食べられない)これは風や動物からの物理衝撃で折れないようにする為だと考えられる。
余談だが、キャベツのトウは市販のキャベツで簡単に見られるので興味があれば試してみるといい。涼しくて直射日光の当たらない室内のスミにおいておくだけで、大抵の場合はトウが出てくる。丸まっている葉を突き破って出てくるトウは勇ましく、花までしっかり咲かせるので一見の価値はある。水遣りなどは不要。
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