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事典ご利用にあたって

腐葉土(ふようど)

園芸百科事典

解説


 腐葉土とは、朽ちた葉や茎など、つまり植物由来の有機物が堆積し、発酵が少し進んだ状態のものを指す。主に水はけ、水もちを改善するための土壌改良を目的として使用されることが多い。

 また、製品化に至って最後に加熱殺菌するものと、そうでない商品とに分けられる。

詳細


 葉や茎の原型をある程度保っており、指で触ると少し抵抗があったのちポキリと折れる程度のものがよい。これがあんまり頑固な硬さだった場合はぜんぜん発酵していないので、使用すると使用中に発酵が進み、土が酸性に傾きやすくなるとされている。

 腐葉土が原型をとどめているのは、まだ完全に発酵が終わっていない証拠。これはワザとであり、水はけをよくすることを狙ってこの状態にしているのであって、発酵させるのが面倒だったわけでは無い。ただその発酵の加減が各社それぞれ違うこだわりがあるだけである。

 注意が必要なのは、どんな腐葉土をつかっても中途な発酵状態であるので、土中で発酵が進む。これは土が酸性に傾くということを示しており、腐葉土100%で植物を育てるのはかなりムリがある。特に、酸性に弱い植物を育てるときには注意したい。酸性にしたい場合を除いて、石灰などを併用すること。

腐葉土と堆肥の違い


 植物由来の有機物で、肥料成分をあまり強く含まない場合は腐葉土。また腐葉土には、水はけや水もちの改善を使用目的とすることが多いので、葉や茎はある程度原型を保っている。

 堆肥の場合、肥料成分を強く含む有機物(この場合、動物性、植物性問わず)が含有しており、栄養価は非常に高い。また、より発酵を進ませることによりきめ細かい質感となる。ただし栄養素は偏っていることが多いので、肥料は必要に応じて与える。粒子が細かく粘土質なので水はけ効果はほぼ無い。

腐葉土と黒土


 腐葉土は有機物の塊だが、鉱石などはほぼ含まない。しかし、黒土は多くの鉱石を含んでいる。腐葉土のもつ潜在的な栄養、つまり有機物はまだ分解が終わっていないため植物がすぐに吸収できない。一方、黒土は有機物の分解がほぼ終わっている為、すぐに利用できる栄養を含んでいる。しかし黒土の中に含まれている養分を使い切ると微生物が死に絶えて土が硬くなる為、腐葉土や堆肥を足して土を生き返らせる必要がある。

加熱処理済の腐葉土の意味


 加熱されて殺菌された状態の腐葉土を見かけることがある。通常の腐葉土となにが違うのかお分かりになるだろうか。これは当然、病気の原因となる雑菌を殺すという目的もあるのだが、腐葉土はその生成過程においてどうしても虫が卵を産みつけてしまうことが多いため、その虫の卵を殺す意味もある。

 これは室内で腐葉土を使う人にとっては非常に重要な処理となる。たとえば、非加熱処理の腐葉土を室内で使った場合、少し時間がたったあとにハムシやコバエが大発生することがある。これはもともと卵が産み付けられていた可能性が高い。虫の卵は乾燥にも強いので、乾燥している状態で販売されている腐葉土でも非加熱だと虫がわく可能性があるので注意しよう。

 ただ、たとえ加熱処理が済んでいても、使用する際に水をまいたあとに虫が卵を産みつける可能性はゼロではない点を覚えておこう。つまり、虫が嫌いなら使うな、という事でもある。

腐葉土の栄養


 ほぼ窒素成分しかない。しかも発酵が途中であるので、すぐに利用できる肥料はほとんど無い。使用していく途中で発酵が進むので、その過程で窒素成分が発生するが、当然酸性となっていくので大量に使うことはお勧めしない。腐葉土だけで窒素成分が補えるわけもないので、別途肥料は必要である。

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