用途に合わせた肥料を無駄なく買おう!
ホームセンターに行くとビックリするのが、肥料の種類の多さでしょう。
正直、まったくの無知識の状態で足を運ぶと混乱すると思われます。
しかし、容器栽培をする場合においては、ごくごく限られた肥料しか使ってはなりません。
肥料はとても便利なものですが、利用する肥料の性質や量を間違えると、虫や病気を呼んでしまうのです。
1. 肥料の種類。
まともに説明をすると数ページ分にわたって語らなければなりませんので、概要のみ説明を致します。
もっともっと突っ込んだ解説をご覧になりたい方は、当サイトの別コーナーの『化学的な肥料のお話』をご覧下さい。
有機肥料
有機物(動物のフンや動植物の死骸、食品のカス等)を加工または発酵させて圧縮させた肥料です。
鶏糞、牛糞、油粕(あぶらかす)、堆肥(堆肥は厳密にいうと違うのですが割愛)、生ゴミ肥料などがそれにあたります。
安価な有機肥料は完全発酵されていない状態で売っている事が殆どで、土にまいてから発酵し、虫や病気を呼びます。
効能はゆっくりで、長期間にわたって植物に栄養を渡すのが特徴です。
無機肥料
化学的にさまざまなものから抽出された無機物(純粋な栄養素のみ)を加工し、粒状、または液状にした肥料です。
純粋な栄養素のみで構成されているか、近年では微生物や酵素などを配合して土にやさしく加工している無機肥料もあります。
ただし、根本が純粋な栄養素であるためか、肥料のさじ加減が非常に難しく、
ちょっと与えすぎるだけで肥料過多になって虫や病気を呼びます。(発酵はしないので、有機肥料とは別の理由です。)
効能は即効性のものが多く、鈍効性といった効能が遅い無機肥料は高価です。
2. 結局はなにを買えばいいの?
『完全発酵済みで微生物が入っている有機肥料』です。少々お値段が張ります。
発酵が済んでいるので、発酵ガスで虫が来ることもありませんし、含まれている微生物は土をやわらかくします。
多くの場合効能がゆっくりなので、ちまちま肥料をあたえる面倒くささも回避できます。
高価で買えない、またはレアすぎて手に入らない場合は、無機肥料を使ってください。
ただし、用法容量をしっかり守り、決して過剰に量を与えない事が大切です。
基本的に発酵しないので虫を呼びませんが、栄養過多(特に窒素)になると、とあるメカニズムで虫や病気が発生します。
(そのメカニズムが気になる方は、当サイトの別コーナー『化学的な肥料のお話』をご覧下さい。ちょっと難しいです。)
マンションのベランダでの容器栽培で一番重要なのは、虫の発生を抑えることです。
お隣さんとの仲を悪くしないために、そして自分の部屋を虫だらけにしないために、肥料選びと使用方法はキチンとしましょう。
3. 液肥ってなんなの?
読んで字のごとく、液状の肥料です。他の肥料よりもダントツで即効性があり、緊急用の肥料としての需要が特に高いです。
液肥にも何種類かありますが、そのまま薄めずに使うものか、薄めて使うかで大きく分かれます。
一般的には薄めて使うものが多く、たとえば『普段は1000倍に薄めて使用』とか、『実がなる時期は500倍』とか、
同じ液肥でも時期によって濃度を変えて使用するものが殆どで、取扱説明書にのっていますのでご参照のほど。
当たり前ですが、どんな肥料もまいた日に効能を目でみることはできません。
まいた後の経過をみて、肥料が利いているかどうか実感するものです。
液肥は即効性がある肥料の代表みたいなものですから、ぱっと見で野菜に元気がないときに、
すぐに栄養を補給させるにはもってこいなのです。人間で言うところの、栄養ドリンクみたいなものですね。
もちろん与えた当日に効果はわかりませんが、即効果が現れると知っていれば、固形の肥料をあわててやるよりは安心できます。
緊急用の栄養補給源として、少量でも持っていると安心できるでしょう。
実際、液肥をあげたら数日で野菜が元気になった、なんて話は非常によく聞きます。
基本的に無機肥料で構成されていて、買うしか手段がないように感じられますが、自作できます。
もし液肥を自作してみたいかたは当サイトの別コーナー『やってみよう自作液肥!』をご覧下さい。
4. 元肥って何?必要なもの?
元肥(もとごえ)とは、栽培を始める前に土に混ぜこんだり、根に直接触れないように地中深くに埋めたりして、
1シーズン分の栄養の大元としてゆっくりと吸収させる肥料のことです。
その性質上、元肥は育て始める前にしか施せませんから、野菜の種類によっては途中で栄養分が不足します。
次の項目で説明する追肥というもので、不足しそうな栄養分を補う必要があります。
しかし、元肥があるとないとでは成長に随分と差が出ますので、
もしお金と時間に余裕があるのなら、元肥を買っておきましょう。
ホームセンターの人に聞けば、元肥のコーナーに連れて行ってくれます。
普通の肥料とは違うので、間違っても『普通の肥料を土に混ぜ込んで元肥にしよう!』なんて考えは起こさないようにしましょう。
これも出来れば完全発酵の有機肥料が望ましいですが、なければ無機肥料でかまいません。
5.追肥って何?必要なもの?
元肥だけではシーズン途中に栄養素が枯渇することがあります。
それを補うカタチで補給させるのが、追肥(ついひ・おいごえ)です。
たとえば、実がよく成る夏や秋、野菜達は子孫を残すために実に栄養を集中させます。
結果、土から栄養素が減るのですが、そのまま放置すると収穫量が減ってしまったり、次に成る実が小さくなります。
そうならないように追肥を行い、次の収穫までの栄養素を補う必要があるのです。
やはりこれも完全発酵の有機肥料が一番です。微生物が土をやわらかくしてくるので、硬くなりにくいメリットもあります。
なければ無機肥料を利用し、有機物が含まれている土壌改良用の土があれば、一緒に土に足すと良いでしょう。
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