解説
有機物とは、生物由来で炭素を含む化合物の総称。基本的にダイヤモンドなどの鉱物、二酸化炭素などの気体等は含まない。生物由来ではない有機化合物とは似て非なる言葉だったが、化学技術の進歩により、生物由来ではない有機物(人工的なもの)も存在するようになった。
詳細
園芸で用いられる有機物、あるいは有機質という言葉は、多くの場合は肥料成分の原料を指す。植物の残骸や動物の死骸、糞尿を表す言葉として用いられる事が多い。
例えば、「この土が硬いのは有機物が少ない為で、土壌改良に腐葉土や堆肥などをすき込む。」と用いる。土作りや、微生物、肥料の話になるとよく出てくる用語である。
肥料としての有機物
有機物は幾つかの菌類の作用(菌的には食事)により、アンモニア、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素と形を変えて分解されていく。 多くは硝酸態窒素が窒素成分として利用されるが、アンモニアや亜硝酸態窒素の過程で窒素成分として吸収する植物もないわけではない。(例:水田で育つイネ科植物など)
無論、そのほかのリンや一部の微量栄養素などへ分解する微生物も存在する。
土壌改良材としての有機物
植物の肥料としても当然だが、微生物のエサとして消費されるばかりでなく、団粒構造の土を生成するのも貢献する為、土壌の改良にも有機物は用いられる。有機物を含まない土の中で代表的なのが赤土だが、これに有機物を混ぜ込み発達させたものを黒土と呼ぶ。
発酵による害
有機物が発酵される際に出る、炭酸ガスやアンモニアが虫を呼ぶ。主に卵を産み付けに飛来するコバエや、または有機物そのものを食べるためにやってくるダンゴムシなどである。不快害虫のような虫害だけでなく、地上で育てている野菜や花を食害する虫も当然誘引される。
また、発酵ガスを出すうえに酸素を消費しながら分解していく為、分解が長引けば土が固くなっていく作用がある。有機物を含む土がやわらかいというのは本当だが、一方で固くなる可能性も秘めているので、分解に時間がかかる水分を多く含んだ未熟な有機物を土に入れることは避けたい。初期発酵がある程度済んだ有機質肥料、あるいは無臭に近い状態まで発酵が終わった完熟肥料ならば硬化を避けられる。 |